美しさは
あなたが あなたらしくいると
決めた時にはじまる
ガブリエル・シャネル
これは「女性の自立」を目指しファッション界に新しい風を起こし、今もなお大きな影響を与えるココ・シャネルのことばです。
皆さんにとってシャネルという人物より、ファッションブランドとしての“Chanel”の方が馴染みがあるかも知れませんが、人物としてのガブリエル・シャネルは女性の解放についても大きな足跡を残しています。ガブリエルのデザインには、常に女性の解放という理念がありました。コルセットを追放し、スポーツウエアを取り入れながら生み出した独自のシルエット。心と体を閉じ込めてきた服から女性を解放したことで、彼女はファッション界のみならず、世界の有り様を変えることになりました。
さて、阿弥陀仏の浄土の世界を説かれた『仏説阿弥陀経』に「青色青光 黄色黄光 赤色赤光 白色白光」とあります。これはお浄土に咲く蓮の花の有り様を、「青色の花は青い光、黄色の花は黄色い光…」と、当たり前のことのようですが、それぞれの花たちが、それぞれの花の色を精一杯の輝きをもって咲き誇っているという意味です。そしてこのお浄土の花々の輝きは、そのまま私たち一人ひとりの姿にも喩えられ、人もそれぞれ個性をもってそれぞれの色を光り輝かしていると説かれます。しかし、私たちの世界に目を向けてみると、私たちはいつも誰かと比べて勝つか負けるか、自分が正しくて相手が間違っていると争い、“優勝劣敗”の生活をしていないでしょうか。本来、私たち一人ひとりもお浄土の花々がそれぞれの色を輝かしていると説かれるように、誰とも比べることのない尊い輝きをもった存在であり、そのことに気づかせようとする教えが浄土の世界の表現です。
浄土の花々の輝きのように、今月のことばも「あなたがあなたらしくいる」ことがそれぞれの”美しさ“(尊さ)だということを教えてくれているようです。
(文責 宗教科)