2025年10月

枯れ木に花咲くに驚くより、           生木に花咲くに驚け                      三浦梅園

 暑かった夏も終わり,少しずつではありますが過ごしやすくなってきました。季節は移り変わっていくものですね。


10月の〝今月のことば〟は江戸時代の思想家,三浦梅園が残した言葉です。枯れ木に花が咲くことはとても珍しいことなので誰もが驚くことでしょう。しかし,生きている木に花が咲いていても当たり前すぎて驚きません。だからその素晴らしさを見過ごしてしまいがちです。

私たちが生きている世界には,当たり前のことは一つもありません。
私たちの毎日の生活の中にはこの「当たり前が」たくさんある様に感じませんか。「~できて当たり前」,「~なんだから当たり前」等など。そしてこの「当たり前に」当てはまらない人に差別の目を向けたり,当てはまらないことで自分を責めてしまう。
「当たり前」の反対の言葉は「ありがたい」,「ありがとう」だとされています。梅園さんは,「当たり前」と感じていることに「ありがとう」という気持ちをもったらどうですか,と私たちに問いかけているような気がします。

季節が移り変わることも,私たちが今ここに居ることも,大切な人が近くに居てくれることも全て、様々な支えやご縁の結果ではないでしょうか。今あるものに,もう一度感謝する,「ありがとう」と言ってみる,大切なことだと思いませんか。
今日,この文章を読んでくれた皆さんに感謝です,ありがとう。
                                                 

 (文責 宗教科)