答えはない。
答えは存在したことがない。
答えはこれからも存在しない。
それが答えなのだ。
ガートルード・スタイン
これはアメリカ合衆国の詩人で芸術評論家でもあるガートルード・スタインのことばです。ガートルードは1900年代のはじめパリに画家や詩人たちが集うサロン(語らいの場)を開いていたことでも知られており、現代芸術と現代文学の発展のきっかけを作ったともいわれています。
学校での教科学習には基本的に答えがあります。だからテストが成り立つわけですが、世の中にはむしろ、”これが答え”というようなものがない”問い”の方が多いのではないでしょうか。
今月のことばの意味を少し深めて考えてみると、例えば、「友情とは何か」ということを考えてみたとき、これこそ友情の定義ということはみつけられるでしょうか。恐らく、そういう考えもあるけど、それだけではないよねとなるのではないでしょうか。そして1つの問題について深く考えてみると、最終的な答えは出なくても、そのものに対する見え方や考え方が深まり、新たな世界観や価値観が生まれてくるということはないでしょうか。そこで、大切なことは“対話”をするということです。先程の「友情とは何か」を友達と話し合ってみると、お互いの考えの違いや価値観の違いに気づかされ自分の考え方が深まり発展していきます。つまり、今月のことばの“答えのないことが答え”の意味は、たとえ“答え”が出なくても“問い”をもち、“答え”を求めて“対話”をしていくこと、そこで気づかされる新たな発見、人間として思考を深めることの大切さを伝えてくれているのではないでしょうか。
今月のことばを通して、日々の授業などでの話し合いという場は、答え探しというだけでなく、自分の考え方を深めお互いを理解し深める場と考えてみてはどうでしょうか。
(文責 宗教科)