2025年6月

どっちも自分が正しいと思っているよ                  戦争なんて そんなもんだ            

by ドラえもん

 6月になりました。梅雨の時節です。恵みの雨を喜び、この時期しか味わえない季節感を感じたいものです。

さて、今年は第二次世界大戦の終結から80年という節目を迎えます。この大戦では、福岡にも1945年6月19日から20日にかけて大規模な空襲がありました。1万戸以上の建物が焼失し、1,000人以上が行方不明・死亡されました。本校近くにも爆弾が落ちて、多数の方が負傷しました。その時、私の父は小学校の高学年で、翌日小学校の近くまで行ったら、「たくさんの亡骸がピラミッドみたいに重ねられていた、おぞましくて直視できなかった」と言っていました。

今、世界では大きな戦争が2つあっています。その他にも国と国が対立したり、民族が対立したりしています。そもそも戦争はどうして起こるのでしょうか。ドラえもんが

「どっちも自分が正しいと思っている」と言うように、「自分たちは正しいことを言っている。相手は間違っているのに、実にけしからん。だから懲らしめてやれ」とお互いが主張するところから始まるのです。また、その根底には、「自分たちさえよければ、他はどうなってもよい」という自己中心的な考え方があると思います。

 (ひるがえ)って私たちの身の回りで起こる争いごとはどうでしょうか。クラスメイトや部活動の仲間、親子の間で起こるささいなけんかも、いじめの構造も、みんな同じ「自分たちは正しいことを言っている。相手は間違っているのに、実にけしからん。だから懲らしめてやれ」という気持ちから起こります。

 仏教の開祖お釈迦様は、縁起の教えを説かれ、すべての生きとし生けるものは「縁」によってつながっている。生かし、生かされる相互依存の関係であると示されました。

だから、

 すべての人々は 暴力を恐れる  すべての人々にとって いのちは愛しい

 自分におきかえてみて 殺してはならない 殺させてはならない   聖典196頁

と諭されました。

 宗祖親鸞聖人は、人間 (自分) の自己中心性を見抜かれ、み教えによって自己を振り返ることの大切さを説かれました。 本当は、誰も戦争や、争いごとは望んではいないと思います。みんなが穏やかな中に、いのちかがやく人生でありたいはずです。だから、わたしという一人の人間の自己中心性を見つめ、振り返る時間が大切だと思います。仏教のみ教えに触れたり、合掌礼拝する時を持ったりすることは、戦争や平和を考えることにつながっているのです。

(文責:宗教科)