出会いと別れ、 それが人生だからです。
春3月です。高校3年生の皆さんは、3年間あるいは6年間学んだこの学び舎ともお別れです。たくさんの思い出とともに卒業していくことでしょう。
今月の言葉は『聖典』204頁にある「追悼会」の聖句の末尾の言葉です。先月の涅槃会・追悼会では、放送部の生徒さんによる、美しい朗読がありました。この聖句の中に「愛別離苦、愛し合ったもの同士も、いつかは別れなければならない。お釈迦様の言葉です。」とあります。死別は言うまでもなく、卒業して進路が違えば、離ればなれになります。「会うたものは、必ず別れる」(会者定離)や「会うは別れの始めなり」という言葉もあります。別れは、苦しい悲しいものですが、私たちの人生には必ずその時がやってくるのです。
私もたくさんの別れを経験してきました。父母・祖父母・叔父叔母との死別や、お世話になった先輩の先生との死別。辛かったのは教え子が事故で亡くなったときでした。今でもお盆にはその生徒の自宅にお参りに行っています。また、大学で知り合った友人たちとは、今では京都・岐阜・奈良と離ればなれですが、電話をしたり、同窓会で旧交を温めたりしています。
来月、4月は新しい「出会い」の月です。高3の皆さんは進路先で、様々な出会いがあるでしょうし、在校生の皆さんは新しいクラスになって、新しい友人や先生との出会いもあるでしょう。
そう考えていくと、人生とは、「ご縁」の中での様々な「出会いと別れ」の連続なのだと思います。その「一期一会」の「出会いと別れ」を大切にしたいものです。大切にすることによって、別れた人を思い出して、その人の「願い」や「想い」を想像することができます。また、出会った人と、精一杯喜びや悲しみを共感することができるのだと思うのです。
聖句に「私たちは、別れの時を大切にするのです。心をこめた別れは、その出会いも、美しいものにしてくれます。」と書かれているのは、そのことを説かれているのだと思います。
皆さんも、これからたくさんの「出会いと別れ」を経験していくことでしょうが、そのことで自分の人生がより豊かに、より輝くように、大切にしていきましょう。
(文責:宗教科)