2026年7月 | 筑紫女学園中学校・高等学校(中高一貫校)オフィシャルwebサイト

2026年7月

見えぬけどもあるんだよ、見えぬものでもあるんだよ。                                       

7 月7 日といえば七夕ですが、みなさんはお願いをしたりするのでしょうか?
今月のことばは、金子みすゞさんの有名な詩「星とたんぽぽ」です。
青いお空の底ふかく、 海の小石のそのように、 夜がくるまで沈んでる、 昼のお星は眼にみえ
ぬ。 見えぬけれどもあるんだよ、 見えぬものでもあるんだよ。
散ってすがれたたんぽぽの、 瓦のすきに、だァまって、 春のくるまでかくれてる、 つよいそ
の根は眼にみえぬ。 見えぬけれどもあるんだよ、 見えぬものでもあるんだよ。
昼間の明るい空には見えないけれど、確かに存在し続ける「お星さま」と、土の底でじっと春を待
つ「たんぽぽの根」。この詩は、私たちの眼には見えないけれど、大切な事実はそこにあるというこ
とを優しく語りかけてくれます。


 この「目に見えないもの」の大切さを伝える、ある科学者のエピソードがあります。19 世紀の偉
大な科学者マイケル・ファラデーが、医学生たちに講義をしていた時のことです。彼は一本の試験管
を取り出し、「この試験管には涙が入っている。その涙が一体何でできているかわかるか?」と質問
されました。すると学生が「涙は水分と塩分と微量成分でできています。」と答えました。マイケ
ル・ファラデーは続けて「他に入っているものはないか?」と質問しました。困惑する学生たちを前
に、彼は静かに語りました。「これは、ある学生の母親が流した涙のひと粒だよ」。 彼は続けます。
確かに涙は水分と塩分と微量成分でできている。しかし、この涙には目には見えないけれど確かに入
っているものがある。それが、「母の愛」だ。
「医学生として、データを医学的・合理的に見ることは大切だ。しかし、医療とはデータがすべて
ではない。その先にある一人ひとりの背景まで思いを致すことが大切である。」と講義を締めくくら
れました。


 今月のことばにある「見えぬけれどもあるんだよ」というメッセージは、私たちが孤独を感じた
り、自分の価値を見失いそうになったりしたときに、確かな温もりを与えてくれます。見えぬもので
あるけれど、私のために涙を流してくれている人がいる。私のことを願ってくれている人がいる。
7 月7 日は七夕ですが、願いをかけるのではなく「私にかけられた願い」を訪ねてみてはいかがで
しょうか?

 (文責 宗教科)